紙襟を作ってみた

シャツの襟が汚れてしまった

 お気に入りだったシャツの襟にしみがついてとれなくなってしまいました。


写真では良く見えませんが、左の襟の後ろのほうにしみがついてしまいました。残念なことです。

 しかし、ここはポジティブに考えることにします。『紙襟』を作って試すチャンスだと考えるのです。

 紙襟の説明を忘れていました。とはいっても僕も聞いたことがあるだけなので、実物を見たことはありません。あくまで聞いた範囲で知っていることを書きます。

 昔々、シャツは非常に高価なもので一人で何着も持っているようなものではありませんでした。でもシャツは着ているうちに汚れます。しかし洗っている間別のシャツを着ようにも他のシャツはない。
 そこで昔のシャツは『デタッチャブル』といって襟が取り外しできたようです。集中的に汚れる襟だけを取り替えることで、シャツを洗わずに着まわすことができます。しかもシャツ自体を洗う回数を減らせるので、洗濯の繰り返しによるダメージからシャツを守ることもできます。とても合理的な考え方ですね。
 で、この取り外しできる襟は当初、布製でした。しかし、襟を洗うのは面倒くさいということで紙製の襟が大流行したそうです。1880年代のアメリカでは7000万枚も紙製の襟が作られたようです。
 でも時代がすすんでシャツ自体の価格が下がって、この紙襟やデタッチャブルという概念も消えていきました。いまではシャツと襟は一蓮托生です。
 
 しかし僕が思うにデタッチャブルという考え方自体は悪くない。理由は以下の通り。

・いつでもパリッとした襟でいられる。
・好きな柄や模様の襟を楽しめる。

加えて紙製であれば、

・最悪捨てればよいので汚れを気にしなくてよい。
・いろいろなデザインができる。

という利点があります。そこで今回は、紙製のシャツ襟を作ろうと思います。『布製のほうがいいんじゃないの?』と思われるかもしれませんが、ぼくは紙が好きなので紙製にします。

材料の入手

 まずは襟にふさわしい素材感を持つ紙を手に入れなくてはいけません。そこでまずは紙の見本帳を買って、実際の感触をたしかめました。

 紙の見本帳はここで入手。

紙名手配

 触り倒した結果、レザック96コットン 100kgがよいのではないかと判断しました。

♪紙名手配50音
 これの色違い。

300 mm * 500 mmを12枚で915円でした。実物を見ると本当にコットンみたいな質感です。

工作開始

 まずはシャツのほうを処理します。もとあった襟を切り取って、シャツ側を縫い直しました。その後、襟の付け根周りに3つ10mmボタンを縫いつけました。

マオカラーシャツみたいになってます。

シャツの処理はここまで。

つぎに切り取った襟を参考に、襟の型紙を作成しました。襟の形を写し取った厚紙を切り抜くだけです。

 この型紙を買った紙の上にのせ、ボタンホール分の余分をつけて切り取りました。
 
 強度が不安だったため、ボタンホール側は紙を二重にしました。2cm幅のリボンを作ってデンプンのりで貼り付けただけです。
 その後シャツ側のボタン位置にあわせてポンチで穴を開け、切りこみを入れてボタンホールを作りました。

 

いよいよシャツに装着。

こんな感じ。

アップにするとこんな感じ。

 けっこういい感じの質感です。さわると若干ぱりぱりしているものの、不用意にしわがよったりはしません。
 実際に着てみました。

意外と違和感ありません。着心地も悪くないです。

100年以上前のアメリカ人もこんな着心地を感じていたのでしょうか?

以上紙製の襟のお話でした。