自分の研究について書いておこう。
今日は、
404 Blog Not Found:ブロガーのための三部作
「高校生のための文章読本」pp.208
1. 良い文章とは
1. 自分にしか書けないことを
2. だれが読んでもわかるように書いた文章
ということを読んでなるほどなと思ったので、
1.自分の研究を
2.誰が読んでも分かるように
書きたいと思います。僕は一言で言うと
『ある高等生物におけるとある翻訳後修飾の役割およびその分子基盤について』の研究しています。
あー逃げないで。
正直な話、生物をやっていないとまったく分からないと思います。でもそれは残念なので分かりやすく説明をしようと思います。できるかわからないけど・・・
『遺伝子の情報から生き物が体をつくる
= 編み物の本を読んでセーターを編む』
遺伝子というものを聞いたことがあるでしょうか?『ああ、DNAのことね』と思われるかもしれません。必ずしも正しい考えではありませんが、今回はそう考えてもらって大丈夫です。*1
生き物は遺伝子の情報からタンパク質を作り出します。ヒトの体で説明しましょう。ヒトの体はいろいろな器官でできていますが基本的にすべてタンパク質からできています。
『え、骨はカルシウムでできてるんじゃないの?』
と思われたあなたは鋭いです。たしかにカルシウムはタンパク質ではありません。しかし骨も基本はタンパク質です。タンパク質という鉄筋にカルシウムというコンクリートをくっつけて強固にしているのが骨であると考えてください。
筋肉や皮膚、髪といった器官ももちろんタンパク質からできています。
骨や皮膚といった器官で体の構造を作っているのがタンパク質であるということは分かっていただけたと思います。しかしタンパク質の役割は構造だけにとどまりません。食べ物の消化や体を作り出すといった機能もタンパク質によって実装されています。具体的には『酵素』と呼ばれる装置がその機能を担っています。
さてここから『翻訳後修飾』の話です。
まずはタイトルにもあるように、セーターを想像してください。
セーターは毛糸からできているとおもいます。毛糸が特定の形に編まれることで防寒具という機能が実現されるわけですね。
タンパク質も糸状に連なったアミノ酸が絡み合った構造をしているのでまさしくセーターです。*2絡まり方の違いによって機能も異なります。毛糸も編み方によっては手袋になるようなものです。
で、想像したセーターをもう一度じっくり見てください。単純なセーターを想像した方は毛糸だけでセーターができていると思います。
しかしセーターにもいろいろあります。ジッパーやボタンがついたセーターを想像されたかもしれません。
タンパク質もまったく同じです。少し前までタンパク質はアミノ酸の糸の絡まり方のみが重要だと考えられていました。ちょうど、この世にあるセーターはすべて毛糸だけでできていると考えられていたようなものです。
しかし、タンパク質にも付属品がついていることが分かってきました。これを『翻訳後修飾』といいます。セーターのボタンに相当するものです。タンパク質の付属品として、リン酸、糖鎖、水酸基など20種類程度が見つかっています。
では何が問題かというと、この付属品の役割です。セーターのボタンであれば『ああ、セーターがはだけないように留めるんだな』とすぐ分かりますが、タンパク質はそれが分からないことが多いです。あるタンパク質からその付属品を取って、付属品なしの状態の機能を調べると、たしかに機能低下するので、付属品が重要であるということはわかります。セーターのボタンをとったら使いにくくなるのと同じです。しかし、どうしてその付属品が重要なのかが分からないのです。セーターのボタンをとると『ボタンホールと組み合わさるものがなくなるから』不便になるのですが、タンパク質の場合はそれが分かりにくいのです。
わたしはそんなタンパク質の付属品に関する研究を行っています。具体的にはある生き物にある付属品を取り付ける酵素(アメリカでセーターにボタンを取り付ける職人さんみたいなイメージ)を探そうとしています。
どうでしょうか?少しは伝わったでしょうか?伝われば幸いです。