お金儲けばかり考えている人はあまりいい印象をもたれません。僕自身がいい印象を持たないし、端的に言ってキモい。
 なぜそうなのか考えてみました。
 キモいものをいろいろ思い浮かべると、なじみのないものが多いことが分かります。
 子犬に比べて蛇がキモいのは、蛇には手足がなくテカテカしていて日常生活であまりなじみのない姿をしているからです。動きもくねくねしていてキモい。その点子犬は想像通りの動きをするし、姿もずっと人間に近いのでかわいいと感じられます。
 同じように考えて、お金儲けのことばかり考えている人(以下『お金スキー』と呼びます)はなじみがないからキモいのだと想像できます。でもお金スキーは人間ですし、お金が好きな性質は誰しも少しは持っているはずです。ではなぜお金スキーはキモいのでしょうか。

 答えは『大抵の人間はお金が好きなわけではない』からです。

 嘘に聞こえるでしょうがたぶん本当です。

 お金を想像してください。紙幣でもコインでもいいです。

 もしあなたが無人島にいたとしてそれは役に立つでしょうか?

 僕は紙幣なら火をつける役に立つと思いますが、コインはちょっとどう役に立つか分かりません。お金それ自身は無人島ではそれほど役に立たないのです。
 日常生活でも同じで、お金それ自身はあまり役に立ちません。コインが時々ドライバーのかわりになる程度です。

 何が言いたいかというと、お金自身には価値がなく、お金の背後に控えているものに価値があるということです。『好きなものと交換できますよ』背景があるからこそお金には価値があるのです。
 なのであなたはお金はそこまで好きなわけではないはずです。きっとあなたがすきなのはお金を通じて手に入れられる財やサービスのはずです。
 このことは紙幣に印刷されている肖像がかわってもあまり騒がれないという事実からも分かります。本当に紙幣が好きなら『夏目漱石先生を返せ!』とか『新渡戸稲造萌え〜』とかいっているはずです。でもそんなことは起こっていない。みんなお金が好きなわけではなく、お金を通して実現できることに興味があるからです。

 だからこそお金スキーはキモいのです。例えばお金を集めようとしている人がいるとして、『発展途上国の貧困解決に募金が必要です。ぜひ募金を』といっている場合と『とにかく金をくれ』場合とでは、後者のほうが圧倒的にキモいはずです。たとえ貧困解決なんてしらねーよと思っている人でも後者のほうがキモいはず。なぜなら後者は『お金がすき』なように見えるからです。普通はお金を通して実現したいことがあるはずなのにまったくそれを言わず、ただお金を集めようとしています。なので普通の人にはなじみがなく、キモいのです。

 このキモさはおそらく選挙でもいっしょです。
『高速道路建設のために私を国政に送ってください』と言っている候補と『とにかく一票を』と言っている候補では圧倒的に後者のほうがキモい。高速道路建設反対でもやっぱり後者のほうがキモい。目的を言わないからです。手に入れた力を何に使うか分かったものじゃないから怖いし、キモい。

 なのでお金が欲しいと思う人は『金儲けがしたい』なんて口走らないほうがよいと思います。きっとあなたはお金が欲しいわけではないでしょうから。*1
 『金儲け』というかわりに、お金を通して実現できる目的を話しましょう。そのほうが自分に対して正直ですし、実現したい目的が『ドバイで豪遊』とか『三食フカヒレ』とかだったとしてもキモさは半減するはずです。

 以上『年収で職業選択を行う人』にたいして僕が感じた違和感の文章化でした。こんな工作もありかな。

*1:もちろん本当にお金が好きな古銭コレクターとかは正直にそういったほうがよいです。