刑罰
「日本で一番重い罰はなんだ?」
「そりゃあ死刑じゃないっすかね。極刑っていうくらいだし」
「それは罰なのか?」
「ははっ!ヘンなこといいますね。罰に決まってるじゃないっすか!絞首台で首をへし折られて死ぬんですよ」
「もし死ぬことが罰になるなら、生きている人間全員に死刑が執行されてることになるが?」
「まあそういわれればそうっすね・・・」
「質問ばかりで悪いがもう一ついいかな?その絞首台っていうやつは『人道的』で苦しくないって言われているんだろう?」
「そうっすね。一瞬で意識がなくなるから苦しくないらしいっすね」
「ではガンで死ぬときのような痛みも、溺死する時のような苦しさもないわけだ。結構死に方としては良いほうじゃないのか?死刑なら何年も寝たきりになった挙句、衰弱死みたいな感じには絶対にならないわけだしな」
「でも無理やり殺されるわけだからやっぱり死刑は罰っすよ」
「死はいつも不本意なものだ・・・」
「えっ?」
「私はガンなんだ。しかも余命3ヶ月。今が身体に自由がきく最後の時だろう」
「えっ?ええ・・・」
「じつは私はお前が殺したいんだ。そしてもう死刑は執行されている。そうだろ?」